ピアノがもっと自由になる
ピアノの基礎がだいたいそろってくる中〜高学年ころになると、コードネームによる「コード奏」を始めます。
もちろんそれぞれの生徒さんのご希望にもよりますが、クラシックに重きをおいている生徒さんでも、この「コード奏」を経験しておく事が大きなメリットになるんです。
それは自分の経験から痛切に感じたことなのです。
◆楽譜が中心のクラシック音楽
音大で教わってきたクラシック音楽は、楽譜を忠実に読み、そこから表現を極めていく…のが王道。
「きちんと作られた楽譜」ありきの演奏です。
ただし卒業してからいただく、伴奏や稽古ピアノのお仕事は楽譜がないのが当たり前。
カセットテープ(古っ!)一本送られてきて、「明日、宜しく!」みたいなお仕事も来るわけです。
そこでコード奏をイチからたたき直すために、ジャズピアノを教わることにしたのです。
今考えればポピュラー理論を教われば良かったのですが、たまたまとび込んだジャズ理論は少しそれより深く、私が大学時代に傾倒していた「現代音楽」につながっていく刺激的なものでした。
◆コード奏からみたクラシックの楽譜
ジャズのテンション(ちょっと高度なコードとお考えください)や進行を学んだ頃に、あらためてドビュッシーやラヴェル、ストラビンスキーなどの楽譜を見ると…
あらら! ジャズで習ったテンションやコード進行の理論にどんどんハマっていく‼︎ …と気がついたのです。
(もちろん実際はドビュッシーやラヴェルの作った和音がその後のジャズの理論を作っているので、当然っちゃぁ当然なのですが)
それまで授業で「和声学」とか「分析」とかやっていたはずなのに、実践として使えていなかったことに驚きました。
話がずいぶんそれていきそうな予感がするので、ここで戻さねば…(笑)
要するに「コード奏」を知ったことで、
クラシックの楽譜の「景色が変わった」
のでした。
ハーモニーの進行、しかり。
暗譜、しかり。
頭に入ってくる度合いがまったく変わってしまったわけです。
これがポピュラーだけでない、「コード奏」を学ぶメリットなのだと思っています。
もちろん本当のメリットはそこだけではなく「楽譜がなくても自由にピアノが弾ける」という点ですけれど。
◆使いこなせなければ意味がない
生徒さんにこの「ピアノが自由に弾ける」という経験を早い時期からしてもらいたくて試行錯誤している訳ですが…。
最近は教本の中にも、コードネームはざっくりと組込まれています。
ただ3コード(ハ長調におけるC,F,G)に偏っていたり、転回形の部分の説明が甘いので、よく理解できないまま「なんちゃってコード奏」になっていて、その本から外れると使いこなせない…という現状があります。
今現在、市販されているコード用の教材も、丸ごと使用できる本はあまりなく…
結果、教室では鍵盤を使ってゲームをする方法で導入しています。
どんどんコード奏を覚えてもらって
- 自分でアレンジ
- 暗譜もしやすく
- ちょっと作曲??
【番外編】
和音をたくさん弾くので、手の支えがしっかりするという利点があることもお伝えしておきます。