◾️GarageBandとは
外から見ると、クラシックのイメージが強い当教室。
実はレッスンの選曲は、ジャンルにとらわれない事が多いです。
もちろんクラシックの奏法をしっかり身につけていただくのが基本ですが、高学年になって長くピアノを続けるためには、幅広いジャンルの経験が必要不可欠かなと思うのです。
最近はほぼポピュラースタイルになってきている合唱の伴奏や吹奏楽、
それからショパンも、ラフマニノフも…
同一線上に行き来できる力をつけてあげたいと思っています。
前置きが長くなりました(笑)
私がこのところ少しずつ準備していたのが、これです。
iPhoneやiPadをお持ちなら無料で使えるアプリ、
GarageBand(ガレージバンド)です。
『知識にとらわれず直感的に、演奏を多重録音して作曲することができる』
というのが謳い文句です。
◾️コロナ禍で激変した子どもたちの環境
実は私、プロフィールにもありますが、以前に「DTM(デスクトップミュージック)」の指導資格を取りました。
当時はレッスンや発表会でも、オーケストラの伴奏を作り、それをバックに演奏をしてもらったりしていたのですが、徐々に気持ちがクラシックに回帰したこともあり、少々ご無沙汰していました。
そんな中、文科省では「GIGAスクール構想」で子どもたち一人一台タブレットも配布され、音楽制作が授業に一部取り入れられ始めると知り、久しぶりに覗いてみたGarageBand。
これが驚くほど面白くなっていた!(のに気づいてなかった、のが正解)
これなら知識なくても使えてしまいます。
せっかくピアノを習いコードや楽典知識があるのなら、なおさらもっと深い楽しみかたが出来るはず…。
◾️実際は…
さて実際、どのくらい学校の音楽授業で取り入れられているのか皆にたずねてみると、
「お琴やヴァイオリンを弾いてみた」という学校が一校。
もちろんピアノ経験のないクラス全員が触れるならば、まずそこからなのでしょうね。
他の学校はまだ…との事でした。
生徒さん達自身は、プライベートでGarageBandにふれた事はあったようですが、「よく分からないからすぐ閉じちゃった」と。たしかに特有の用語も多く、ちょっぴりとっつきが悪い印象ではあります。
ただ小6の一人だけは、何とか多重録音の第一歩くらいまでたどりついていたそうで、それにはちょっとビックリ。
最近よくあるのは、思わぬ子が作曲をしていたり、耳コピで相当な曲を弾いていたり…レッスンでみせる顔以上に「広い範囲の音楽経験をしたがっている」という事実です。
◾️GarageBand講座
そこでこの6月に「GarageBandで音楽を作ろう!講座」を、高学年の希望者対象にオプショナルレッスンとしてスタートさせました。
私の手持ちのiPadが2台あるため、仲良し2人1組。
まずはこのアプリの使い方になじんでいただき、音楽のしくみを知ることから始めています。
親子お二人での参加もありました。
「本当はお父さんが来たがっていたんだよ。こういうのに憧れてたんだって」
わかるわかる…(笑)
さすがデジタルネイティブの子どもたち。
サクサクと作業をすすめます。
◾️「オーケストレーションの思考」これが本当のねらい
どうしてもDTM(デスクトップミュージック)というと「ボカロ系」の様なイメージがあって、クラシックと対極のように思われてしまうフシがあります。
しかし、レッスンのねらいはそこではありません。
(もちろん、お好きな方にはそこを楽しんでもらって良いのですけど…)
よくピアノは、1人でオーケストラができる楽器だと言われます。
ピアノ曲を理解するには、結局はオーケストレーションの思考と目を持たなければならない訳ですが、このGarageBandをはじめとする多重録音、このオーケストレーションがとてもイメージしやすいのです。
バス(低音)にミックスさせるハーモニー、
メロディーと全体の音量バランス(しかも数値化)。
場面が変われば、楽器の組み合わせも変え…
これ、ピアノを演奏する時の思考とまったく同じなのです。
その上、ジャンルを越えて一気に音楽の世界が広がる。
グローバルな時代を生きる子どもたちにとって、一つの大きな表現方法が手に入る、夢の宝箱になるといいのですが…